不機嫌な彼のカミナリ注意報
「緒川、なにを隠してるんだ!」

 誰もいない静かな廊下に風見さんの低い声が轟いた。

「今あそこで……お取り込み中だったんですよ」

「……は?」

「ですから、そのぅ……風見さん、怒らないでくださいね? 男の人と女の人が……仲良くしていらっしゃって……」

 お願いだから、そっとしといてあげましょう。
 そう願いを込めつつ、私はポツリポツリと細切れに言葉を紡いで説明をした。

「ふざけんな!!」

 怒らないでと前置きをしたのに、風見さんの眉間にはギュっと激しくシワが寄っている。

 再びミーティングルームへ戻ろうとする風見さんを、私は必死に腕を引っ張って引き止めた。
 風見さんは今から絶対、そこに乗り込んでいくつもりだ。

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