不機嫌な彼のカミナリ注意報
 それを見た女性たちもこちらに寄ってきて、同じようにお皿を差し出すものだから笑いそうになる。
 小学校の頃の給食当番を思い出した。

「緒川さ~ん、私も~」

「あ、私は小盛りで」

 次々に出されるお皿に焼きそばを盛っていくと、すぐにそれは鉄板の上からなくなってしまう。
 すぐに追加で焼かなければ。
 あわててクーラーボックスから材料を取り出して、再び豚肉と野菜を炒めるところから始めた。第二ラウンドの開始だ。

 野菜が焼ける蒸気が熱くて、額から汗が噴き出してこめかみを伝う。

「緒川、お前って男前だわ!」

 懸命に焼きそばと戦っていると、ビールを片手にした大脇さんに声をかけられた。

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