不機嫌な彼のカミナリ注意報
 たまたま私が焼きそば担当になっただけなのだ。
 それを「損をした!」などと別に思ってはいない。

 ……すごく暑かったのは事実だけれど。

「どうせお前のことだから、頼まれたら断れなかったんだろうけどな」

「そうですけど……でも、別に清瀬さんだってわざと私に頼んだわけじゃないでしょう」

「は?……また清瀬かよ」

 清瀬さんの名前を聞いた途端、眉をひそめる風見さんを見て失敗したと思った。
 今なにか、誤解を生んだかもしれない。

「いや、だから清瀬さんのせいじゃないですよ?」

 必死でそう言葉を続けると、風見さんは呆れたように溜め息を吐き出して、顔の向きを正面に戻した。

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