不機嫌な彼のカミナリ注意報
「わ～！　もう、悔しい～～！」

　一際大きな声が聞こえてきたと思って前を向くと、瀬戸さんが悔しそうな表情でラケットをブンブンと振り回している。
　見てはいなかったけれど、相手側に得点を取られたらしい。
　ペアを組んでるのは大脇さんで、かなり困った顔になっている。

　いつも会社では瀬戸さんは風見さんと同じくカッコよくて、女性チームリーダーとしてスマートに仕事をしている印象だ。
　だから今日の瀬戸さんは、私には普段と違った印象を受けた。

　男性に混じってコンロに炭をくべていたのもそうだけれど、今も子供みたいに真剣にバドミントンをやっている。

「アイツ……バカじゃないのか？　あんなに必死でやるヤツなんていないだろ」

　突然隣から風見さんの声が聞こえた。
　瀬戸さんのその様子を見て笑みを浮かべている。



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