不機嫌な彼のカミナリ注意報
「コピーできました」

 私がそう声をかけると、彼は中をザっと確認して小さくうなずいた。

「よし、次。この中に表があるから、先月のこのデータを打ち込め」

 こちらを見ることもなく、USBと先月の広告費が書かれた紙を無愛想に渡される。

 本当に噂どおりの人だった。
 先ほどから一切目を合わせないし、上司とはいえ上から口調にもほどがある。

 とりあえず、中身を開くためにノートパソコンにUSBを差し込んだ。
 その中にデータを打ち込まなきゃいけない“表”とやらがあるのだろう。


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