不機嫌な彼のカミナリ注意報
「だって、私ひとりで食べ切れないです。それにふたりで食べたほうがおいしいじゃないですか」

 精一杯ニッコリ笑ってそう提案したけれど、風見さんはなぜか一瞬思考が停止したように固まっていた。
 そしてフイっと視線をそらせ、少しばかり目を泳がせる。
 いったいどうしてしまったのだろう?

 風見さんがおもむろに自分の目の前のおにぎりを手に取り、外装のフィルムを剥がしたと思ったら勢いよくガツガツと口に放り込む。
 お互いなにも話さず、静かな時間がしばし流れた。

「気になったことがあったんだが……聞いてもいいか?」

 次に風見さんから紡がれたのはそんな言葉で。
 私は小首をかしげながらも、コクリとうなずいた。
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