不機嫌な彼のカミナリ注意報
 甘い言葉を何度も言われ、会うたびに胸がキュンとして……
 うれしい言葉を恥ずかしげもなく言ってくれる彼のことを、好きだと思った。

 だけど、それは私だけではなく……
 ほかの何人もの女性にも惜しげもなく言ってたのだと思うと、絶望しか残らなかった。

『私以外の人と、別れる気はないの?』

 数日悩んで、斗夜に最後に問いかけた言葉がそれだった。
 なにも悪いことはしていない認識の彼が、ほかの女性たちと別れる判断をするとは思えなかったけれど。

 私は彼に、心底謝らせたかったのかもしれない。
 だけど彼は小さく『ごめんね』とだけ言って、別れる意思がないことを示した。

 申し訳なさそうに謝るのではなく、まるで私のわがままを聞けないとでもいうような態度で。

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