不機嫌な彼のカミナリ注意報
 俺のイライラが最高潮に達し、少々声が荒くなってしまった。
 その声に一瞬ひるんだ瀬戸がそのまましばし沈黙を作る。

「ねぇ、どうして笹岡くんと清瀬さんの話をすると急に怒るわけ? それとも、緒川さんに聞かせたくないなにかがあるの?」

「それは……」

「緒川さんにこだわってるのは私じゃなくて風見くんよ?」

 諭すようにそう言われれば、俺もそれ以上感情をぶつけられない。

 こだわってる? 俺が、 緒川に?
 そうじゃないだろう。……いや、そうなのかもしれないが……

「緒川は……笹岡に気がある」

「へ?! 緒川さんは笹岡くんのことが好きなの?」

「たぶんな」

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