不機嫌な彼のカミナリ注意報
 あんまりこういう話を本人のいないところでするのはどうかと思うが、瀬戸は口は固い。そのあたりは信用できる。

「だから無神経に緒川の前であのふたりの話をしたくないだけだ。アイツも普通の女だから、そういう話題を聞けば落ち込むだろ」

 最初は目の前で泣かれたら面倒だという気持ちが強かったが、単純にアイツをかわいそうだと思う同情心が勝るようになった。

 思いを寄せる男には同じ部署内に付き合ってる女がいて、なにも知らない男のほうはノーテンキに堂々とその女とイチャついている。
 当の本人たちに悪気はないにしても、だ。
 目の前でそんなものを見せられたら、少なからずアイツだってショックを受けるだろう。

 このあいだも、ミーティングルームでどこまでやってたのか知らないが、あのふたりがイチャつている声を聞いてしまったようだ。

 ――― ったく、
 無神経な笹岡にも、計算高い清瀬にも、俺は最近イライラしっぱなしだ。



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