不機嫌な彼のカミナリ注意報
「風見くん、あなた自分で気づいてないでしょ?」

「なにがだ」

 質問された意味がわからなくて瞬時に聞き返したのに、瀬戸は呆れた顔をして小さく息を吐く。

「あなたは自分で思ってる以上に、緒川さんを気に入ってるわ」

 どういう意味で瀬戸がそう口にしたのか。
 仕事に関してということなのか、それとも………

「昔、一度だけ今みたいな風見くんを見たことがあったわね」

 椅子に座ったまま、しかめっ面でギロリと睨み上げてみたものの、瀬戸はひるむことなくニヤっと笑う。
 最近コイツには俺の睨みが効かないことがわかってきた。

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