不機嫌な彼のカミナリ注意報
「緒川さん本人がそう言ったの? 笹岡くんのことが好きだって?」

「ハッキリ言ってはいないけど、見てればわかる」

「私には……そうは思えないけど」

 俺の言葉に、瀬戸がいぶかしげに眉根を寄せる。
 なぜそう思えないのかと、無言の圧力でギロリと睨んだが、瀬戸は表情を変えない。

「まぁとにかく、俺のチームから緒川を引っ張るな。それはお前がこの先どれだけ言ってきても、俺の答えはノーだ。それと、笹岡たちの話もアイツにはするなよ?」

「ずいぶんと私情が入ってるわね」

「はぁ?!」

 あぁ、もう……コイツまで……

 瀬戸は昔から聡明で話のわかるヤツだった。
 会話も、男同士でするみたいに気をつかうことはなかった。

 なのに、なんで今日はコイツですら俺をイライラさせるんだ。

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