不機嫌な彼のカミナリ注意報
 三年前に、俺は一年だけ横浜支社に転勤になった。
 そこで出会ったのが俺たちより一年後輩の紘美だった。

 紘美は職場ではいつも真面目で一生懸命で、容姿が可憐なこともあって、気がつけば俺はなにかと手を貸してやりたくなっていた。

 当時、横浜支社との合同プロジェクトに参加していた瀬戸は、しょっちゅう俺のところに声をかけにきていたから、紘美との関係を瞬時に見抜いた。

『私……風見さんが好きです』

 突然言われた告白の言葉。
 ほかの女からなら、それは何も響かないのだけれど。
 
 紘美にそう告げられて、素直にうれしいと思う俺がいた。

 そして俺たちは、自然と付き合うようになった。

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