不機嫌な彼のカミナリ注意報
「今から緒川さんの様子を見に行ってあげるの?」

「わざわざ行くわけないだろう」

「あら。ふたりは家が近いのに。モタモタしてたら本当に知らないからね?」

 瀬戸が意味深に笑うと気味が悪い。

 行くわけがないと言いつつ、昨日の俺の行動を思い返すと溜め息が出た。
 土曜日、フラフラのアイツを送っていき、帰るときに鍵はポストの中に入れておくと自分で言ったのに……

 俺はそうしなかった。
 アイツにはうっかり持って帰ったのだと言い訳をしたが、実はわざとだった。
 俺が“うっかり”なんて、そんな失態をするわけがない。

 アイツのアパートから俺のマンションまで、徒歩五分の距離だ。
 もしもアイツが、鍵がポストにないことに入っていないと先に気づけば、俺に連絡してくるはずだから返してやるつもりだった。

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