不機嫌な彼のカミナリ注意報
 そう言って平気そうに笑う藤野くんだけれど、フラれる胸の痛みは私もよくわかる。
 私だって……フラれたも同然の身だ。

「じゃあ、慰めないから」

「……?」

「フラれたくせに、まだ慰めてたら往生際が悪いでしょ」

 そうではないと思う。
 きっと、フった私が気まずくないように気遣ってくれているのだ。藤野くんはやさしいから。

 それがわかると、自然と涙が頬を伝った。我慢していたのに……。

「がんばって」

 私の頭をやさしく撫でると、藤野くんはマーケティング部へと引き返して行った。

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