不機嫌な彼のカミナリ注意報
「イジメてないわよ! 変なこと言わないで!」

 俺よりも先に瀬戸に睨みをきかされ、笹岡は肩をすくめて再び自分の仕事を再開させた。

「でも……緒川さんはほんとに心配だわ。居酒屋でもトイレからしばらく出てこなかったし、戻ってきたと思ったら顔色悪かったもの」

 思い返してみるとそうだ。
 俺がトイレと煙草から戻ってくると、そこには酔った瀬戸しかいなかった。
 緒川もトイレだというからすぐに戻ってくると思っていたが、なかなか戻ってこなかった。
 そして、酔って気分が悪くなったから帰ると急に言い出したのだ。

「今でもどこか体の具合が悪いんじゃないかしら?」

「……?」

「体調が悪いから集中できていないのかも。だったら、飲みに誘ったりして悪かったわよね……」

 あの時は俺はなにも不思議には思わなかったが、瀬戸の言うとおりなのだろうか。
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