不機嫌な彼のカミナリ注意報
 今夜は美人ふたりを目の前にして、鼻の下を伸ばす風見さんにムカっとしたのはたしかだった。

「だって……風見さんがいつもと違ったから。どうせ男はみんな美人には弱いんですよ」

 唇を尖らせてそう言うと、風見さんが横向きになり、余裕の笑みを浮かべて私を見つめる。

「お前ってかわいいんだな」

「へ?!」

「妬かれるのも、お前なら悪くない」

 そんなセリフと共に、尖らせた私の唇にやさしく触れるキスをするのだから、やっぱり反則だ。

 今日、知ってしまった。
 ベッドの上で、風見さんのやさしさが極上になることを。


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