不機嫌な彼のカミナリ注意報
「なっ、そんなのあるわけないじゃない!」

「そうですかぁ?」

「そうよ! ていうか、私にだけやさしいとか、そういうこともないから!」

 こういうのは、違うなら違うときちんと否定しておかなければいけない。
 火種は小さいうちに消すに限る。

「だいたい、私みたいな地味でなんの取り柄もない女に、風見さんが興味示すわけないよ。その証拠に、初日にあんなことまで言われて……」

「……あんなことって?」

 私と也実ちゃんの会話を聞いていた真那が、ナポリタンを口に放り込みながら聞いてくる。

 思い出して、ついポロっと口に出してしまったけれど……
 今のはもしかしたら失言だったかもしれない。


< 36 / 328 >

この作品をシェア

pagetop