不機嫌な彼のカミナリ注意報
「……たいしたことじゃないの」

「気になるじゃない。言いなさいよ!」

 ……真那にはかなわない。私は腹をくくって深呼吸をした。

「『俺に、絶対惚れるな』って……釘を刺された」

「「…はぁ~?!」」

 ふたりの返事が見事にハモり、思わず凄いと感心してしまった。
 目を見開くふたりを落ち着かせないといけないから、呑気に感心してる場合ではないのだれど。

「なっ、なんでまた寧々に、そんなことを?」

「さぁ?  面倒なのはご免だとかなんとか言ってたかな。とにかく、私なんかに好きになられたくないってことよ。そんな人が私に興味あるわけないでしょ」

 ワハハと笑ってカルボナーラを食べる私を横目に、二人の手は完全に止まり、呆然としている。

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