不機嫌な彼のカミナリ注意報
 それを言われると耳が痛い。
 元彼との失恋で、生気を奪われたようにぐったりとなっていた私は、自然とリアルな恋愛を避けるようになっている。

 合コンに誘われても気乗りしないから断っているし、この一年はずっと地味街道まっしぐらだ。
 
 元彼とのことが原因なのは、真那も承知している。
 だから私が芸能人を相手に現実逃避しているように見えて、痛々しいと思っているのかもしれない。

「モタモタしてるとね、三十路なんてあっという間よ? 社内のいい男は競争率が高いんだから、もっとあせらなくちゃ!」

「……そう言われても」

「突然異動になったと思ったら、あの悪名高き風見 太雅と一緒に働かなきゃいけないのよ? 自分を取り巻く環境がどんどん恋愛から遠ざかってるの。わかってる?」

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