不機嫌な彼のカミナリ注意報
 あせった様子でオフィスを出て行く笹岡さんを見送り、私は頼まれた仕事に取り掛かった。
 そのすぐ後に、風見さんがデスクに苦い顔で戻ってくる。

 ……あ、苦い顔ではなくて、あれが普通なのかな。


 とにかく、パソコンに向かって業務をこなしていれば、誰かほかの人に頼まれた仕事だなどと疑われはしないだろう。
 私はカタカタとキーボードを操作しながら、データを素早く入力していった。

 だが思いのほかけっこうな時間がかかってしまった。
 時計を見ると、定時まであと三十分しかない。

 今から残っている自分の仕事をやったとしても、三十分で終えるのは無理かな。
 どう見積もってもあと一時間はかかりそうだ。

 残業かぁ……仕方ない。

 そう思い、全速力で取り組んでいるときだった ―――


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