好きより、もっと。


「何度も言わせるな。次は無理矢理にでもすると、俺は言った」


「そんな・・・っ!」


「何を言われても引かないからな。それに、俺の前で無防備に寝たお前が悪い」




ぐっと言葉が詰まる。

確かにそれは正論だ。

自分に好意があると言ってくれた人の車で、無防備に寝た自分が悪い。

それは、間違いなく正論なのだ。


それでも、大崎さんは甘んじて許してくれるんじゃないか、と思っていた。

私が嫌がれば無理矢理に何かをする人なんかじゃないと、そう思っていた。

自分の勝手な理想を大崎さんに押し付けて、自分は大崎さんに何も返すことがなくても平気だなんて。

自分勝手で独りよがりな考えで、大崎さんが何を考えているのか微塵も考えていなかったことに気付く。



引かれる腕の強さが、大崎さんの本気を物語っている。

それでも無意識にそれに抵抗してしまう私は、どうしてこんなに非道い女なんだろう。

どうにも出来ない気持ちを自分一人で制御することが出来なくて縋ったのは自分なのに、いざ手を伸ばされると無意識に拒否反応を示してしまった。




「お前なぁ・・・」


「ごめ、なさ・・・。でもっっ!!」


「亜未」




恋人みたいな響きで呼ばないで。

私は、貴方のものになったつもりも、なるつもりも無いというのに。

甘く優しい声で、強引な行動とは裏腹の、私の我が儘を全部吸い込んでしまいそうな声で。

そんなに愛しそうに名前を呼ばないで。


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