好きより、もっと。



「あ・・・」


「ほれ、見ろ。アイツはそんな冷静なヤツじゃねぇよ。嫉妬もすれば、怒りもするんだよ」


「・・・」


「俺以上にアイツを理解できるヤツなんていないんだ。・・・電話しといてやれ」


「・・・うん」




カズは、私を心配してたわけじゃない。

カズが心配してたのは、タクだ。



いつも一緒にいられる訳じゃないから、私たちは誤解が生じやすい。

それは、すぐに電話をして解決しないと、燻った大きな火種になる。




この二年半。

私は、それを学んだ。

一度キレてしまったタクを納めるのは容易いが、一度キレてしまった自分を納めるのは、あまりに大変だった。

だから、いつも。

悪いと想った方が、すぐに連絡を入れる習慣がついたのだ。



電話くらいは融通が利く、そんな会社に勤めていることに本当に感謝した。




『――――――プルルルル―――プルルル。

ガチャッ、留守番電話サービスに接続します―――』


「タク。アミです。昨日はごめん。話たいことがあるの。時間空いたら電話下さい。」




いつも通り、タクの留守電に伝言を残しておいた。

気付けばタクから連絡が来るだろうし。


目の前のカズは、心配とも怒りとも取れる目線で私を見つめたままだ。




私と同じ思考を持っているカズ。

その目線の中に、私の感情を読み取る機能が、きっと付いている。


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