初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

色羽からの最初で最後の手紙を読み終えた。



華も俺も、泣いていた。



『6時に原っぱで』



あの日は、俺たちが出逢った日。



そして色羽は、タンポポのストラップで思い出したんだろうな。



小さい頃、原っぱで。



色羽と俺が、黄色いタンポポを華に差し出した



あの時のことを――。




―――……

『はなちゃん!おおきくなったら、ボクのおよめさんになって』



『なるくんのおよめさんに?』



『ダメだよ。はなちゃんは、ボクのおよめさんになるんだから』



『いろはくんのおよめさんに?』



ふたりの男の子は、原っぱに咲いていた黄色いたんぽぽを摘んで、



ひとりの女の子に差し出した。



『ありがとっ』



女の子は、ふたりの男の子からタンポポを受け取って微笑んだ。



―――……



色羽は、もう一度



あの頃の俺たちに戻ろうと思ったのかもしれない。



大好きな女の子を、



何度もケンカしながらも取り合って。



そのあとは、仲直りなんて言葉もいらないくらいに



すぐに笑い合ってる。



そんなあの頃のような俺たちに、



色羽はもう一度、戻ろうとしたんだ。
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