初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら

あたしはケータイのアラームの音を止める。



色羽と成は、むくっと起き上がって布団の上に座るけど、



ふたりとも、目が開いていない。



「ふぁああ~ねむ」



そう言って大きなあくびをしながら、寝ぐせのついた黒い髪を触る色羽。



彼の名前は、九条 色羽(くじょう いろは)。



あたしの家のお隣さんで、庭の広い一軒家に、お父さんとふたりで暮らしている。



色羽のお母さんは、色羽が小さい時に病気で亡くなった。



色羽のお父さんは仕事が忙しいため、家に帰ってくる時間も夜遅く、休日もほとんど家にいない。



そのため色羽は、小さい頃からうちで一緒にご飯を食べたり、泊まったりすることが多かった。
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