初恋Daysーあの場所で、また逢えたなら
「もぉちょい寝かせてください……よろしくです……」
そう言って成は、再び布団に倒れこむように寝てしまう。
敬語とか、どした?……完全に寝ぼけてるね君。
「コラーッ!」
あたしは成の耳元で、大きな声で叫んだ。
「うっわ!耳がキーンてなった。キーンて……耳死んだ」
バチッと目を開けた成に、あたしはニッコリと微笑む。
「さっさと起きなさいよねっ」
「華ちゃーん……起こして?」
甘えた声で、寝たまま成はあたしに手を伸ばす。
「……ったく、もぉ」
あたしはその手を掴み、勢いよく成の体を起き上がらせた。
彼の名前は、五十嵐 成(いがらし なる)。
成は、あたしの家の前にある一軒家に、
成とお母さんとおばあちゃんの3人で暮らしている。
前は、成のお父さんと成の弟も一緒に5人で住んでいたけど、
成が中学生になる前、成の両親が離婚して、
成のお父さんは、弟だけを連れて家を出ていった。