美狐はベッドの上で愛をささやく
「っダメですっ!
だって、わたしなんかが行ったら紅さんの邪魔になっちゃう!!」
真赭さんは美人だし、生成さんは格好いい。
きっとふたりが紅さんのところに行ってもお客さんは喜ぶと思う。
だけど……だけどわたしは何もない。
冴えない奴が紅さんの傍でチョコチョコ動き回るのは迷惑にしかならないよ。
紅さんとわたしとでは、住む世界が違いすぎる……。
「ばかね」
ぺちり。
「ひゃっ」
悲しい考えになって項垂(ウナダ)れてしまうと、突然わたしの額が叩かれてしまった。
たぶん、手加減はしてくれているんだと思うけれど、真赭さん、少し、痛いです……。
「あのね? 自分が想っている人がわざわざ仕事場まで来てくれるのよ?
そんな嬉しいことってないわよ!」
ヒリヒリする額を擦(サス)りながら、顔を上げて真赭さんを見つめると、真赭さんは両手を腰に当てて何度もうなずく。