俺様王子と2℃の恋
「なに?」

「いや、ただ……
 彩花って不意に可愛いこと言うよな」

「……へ?」

「いや、だって」

 ザッと私の前に、まるで通せんぼするかのように立った樹。横から吹く風が、二人の髪を交互に揺らす。

「俺、初めて姉貴のことマシだと思えたかもしんない。彩花のおかげだ」

 そう言って顔をくしゃりと綻ばせる彼の頬は僅かに染まっていて……私も、ついつられてしまう。
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