可愛いなんてバカらしい
「これでよしっと。早く行かねぇと不自然に思われちまう」


トイレの鏡で最終確認をする。


「あ.....やべぇ。制服は持ってきてねぇよ....!」


自分の着ている学ランを見ながら頭を抱える。


学ランを着たまま生徒会長に会ったら変に思われる。


かといって、裸になったら警察行きだし.....。


あぁ!くそぉー、どうしよう...。


「しゃーねぇな。これでいいか?」


声のする方を見ると、頭をポリポリかきながら海斗がたっていた。


「海斗!どーしたんだよ。」


「お前が遅せぇからだろ~?生徒会長、心配してたぞぉー」


海斗はそう言いながら、手に持っていた袋を差し出した。


「ん?何だよ、これ。」


「真琴の体操服。どうせ制服なくて困ってたんだろ?これ着て、体育の授業だったとか言っといたらいいんじゃねぇーの?」


「海斗Nice!」


海斗の背中をバシバシ叩き、早速、体操服に着替えた。


「これで完璧!行くぞ、海斗。」


「いや、俺はいいよ。お二人さんでラブラブしてらっしゃい。」


海斗はニヤニヤしながら手を振った。


これも海斗なりの気遣いなのだろう。


「ほーら!行けって!」


海斗はやっぱり優しい奴だ。


だから憎めない。


へへ、今度おごってやろう。
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