Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編





「で、でも。ただご馳走になるのは申し訳ありませんから、食器を並べたりするくらいはさせてください」


住んでるマンションに桃花がいるだけでも信じられないのに、よもや手伝いを申し出てくれるなど。予想外では無かったが、流石に緊張してぶっきらぼうな対応になってしまった。


(前々から材料を大量に用意していたと知られたら、流石にドン引きだろうな)


それに、セキュリティ上マンションに出入りする人間には制限を掛けてある。桃花達を入れるために説得にかなりの時間を費やした。私の侍従やSPには頭の堅い人間が多すぎる。


(もうすぐ帰国する第一王子という立場なら仕方ないかもしれないが……)


ヴァルヌスに帰国をするならば、既に決められた婚約者を迎えねばならぬはず。おそらく近隣の諸国か国内の貴族の血を引く令嬢が選ばれていることだろう。


(……そんなことは絶対にさせない)


今日、桃花に告げる。私の正体と今までのこととこれからを話す。身体の関係は持たないという条件でマンションに入れたが、将来の約束までは制限されていない。




「じゃあ、これをみじん切りにしてくれ」


玉ねぎを渡すのにも思いっきり無愛想に見えただろうが、20年ぶりにまともに会話をかわしたのだから緊張もする。

それをきっかけに桃花がメニューのアレンジを提案してきて、料理が好きなんだなと判ったのがうれしかった。


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