生意気な年下の彼
「だから言ったじゃん?わかってないって。チョコ渡したいだけなら、そう言えばいいんだよ。先輩、何したっけ?」
「もう少し一緒にいてって言いました」
「それだけ?」
「…和真くんに抱きついてた…」

 歯切れ悪く答える私に、和真くんはくすっと笑う。
 私の頬に触れ、覗き込むようにして「わかった?」と尋ねる彼に、こくりと頷く私。

 1秒ほど見つめ合った先には、彼の優しいキスが待っていた。

「さっきのは忠告分、これは授業料ってことで」
「まだあるの?」
「チョコのお返しに期待しててよ」

 いたずらっ子のような笑みを浮かべてそんなことを言われては、赤面は免れない。
 少し前にあんなことがあったんだから。

 それでもチョコを差し出してしまうのは、強引さの中で見せる───彼の愛。



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