ナイト!





「どうして、ここまで」




少し考えたように俯いた南雲くんのお父さんが、顔を上げて言った。




そんなの…、




「あたしが失いたくないって、初めて思ったからです」




ガタンっと、音が鳴る。



「っ……」

「ーー父さん、こいつだけは譲れねぇ」

「なぐっ…!?」




急に立ち上がった南雲くんに腕を引っ張られ、出口の方へ進む。


唖然とした、みんなの顔。




唯一、坂口さんだけが笑っていた。





< 356 / 574 >

この作品をシェア

pagetop