ナイト!
「凛お嬢様、こちらに」
やっぱり、坂口さんはいた。
総支配人が現れた扉とはまた違う反対の扉から出てきた坂田さんは、書類を片手に持っている。
それを渡され、あたしはテーブルの上に置く。
「これは…」
「こちらはあたしが保有するロイヤル・イーストのすべての株です。これを全部南雲にお渡ししても構いません」
「……………」
「東雲がここの株を保有できる現在5名のうち、あたしが持つ3割弱の株さえあれば、南雲にも損はないかと」
「どういうことかな?」
「あなたなら、お分かりかと?」
あたしの持つ株が、南雲に与える影響。
南雲にとっては損はないはずの、オオモノ。
それをわかってて、あえていってくるあたり、この人は只者ではない。