さくらへようこそ
「僕、酒屋の息子なのにお酒が全く飲めないんです」

そう言った星野に、
「えっ、そうなんですか?」

大倉が驚いた顔をした。

だから、自分でそろえさせたと美桜は言っていたのか。

「だから、新作のお酒が入るとこうして美桜ちゃんに頼んでテイスティングをしてもらっているんです。

彼女には本当にお世話になりっぱなしです」

「へえ、そうなんですか」

大倉は納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。

「んー、これは結構甘味が強いタイプね。

口に入れたとたんに広がって、すーっと味わいがひいて行くって感じがする」

テイスティングを終えた美桜が星野に感想を言った。
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