さくらへようこそ
「それにしても」

大倉は周りを見回した後、
「この町って、本当に心地がいい場所ですね」
と、言った。

美桜は不思議そうに首を傾げた。

「皆さん温かくて、家族みたいな感じがします」

「フフッ、そうですか」

「僕もこの町に住むことができるなら住みたいです」

そう言った大倉の顔はどこか悲しそうだった。

「えっ?」

聞き返した美桜に、
「いえ、何でもないです」

大倉は首を横に振った後、笑った。
< 90 / 167 >

この作品をシェア

pagetop