さくらへようこそ
「じゃあ、何の用よ?」

美桜は首を傾げると、安部に聞いた。

安部はカウンターのうえで頬杖をすると、
「実はさ」

話を切り出した。

「明後日、ノゾミちゃんの大学の卒業式があるんだ」

ノゾミとは、最近上野と安部の元で働き始めた大卒の女の子の名前だ。

星野の店で一目見ただけだが、腰まである黒髪のロングヘアーが特徴的な美人だった。

「大学の卒業式って…ノゾミちゃん、まだ卒業してなかったんだ」

「うん、これからだったらしい」

「それで?」

美桜は話の続きを促した。
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