迷いの森の魔女

迷いの森の魔女

ピチチ…

けたたましいという程ではないけれど、賑やかな小鳥のさえずりを耳にしたジークは目を覚まします。

上体を起こし、大きく伸びをしました。
気持ちのいい朝だ、昨日まで自分は何をしていただろうと思い返したところで意識を失うまでの記憶が蘇ります。


「あ、あぁ…迷いの森の魔女！」


眠ってなどいられないと飛び起き、ジークはきょろきょろと辺りを見回しました。
見知らぬ部屋、扉を発見してドアノブを握ります。鍵が掛かっているのではと一瞬案じたものの、ガチャリと小気味の良い音を立てて扉が開きました。


「誰か、誰かいませんか！」

「騒々しい」


存外近くから聞こえた声に、ジークはびくりと肩を竦ませます。
首を巡らせると真横にフードの女が立っていました。