また、キミに逢えたなら。


話が盛り上がって来た頃、ちらりと時計を見た瑠璃は小さくため息を吐いた。



「塾の時間だ。もっと話したかったのに」



名残惜しそうにしながらも、カバンを持って立ち上がる。



「頑張ってね、優等生!今日はありがとう」



来てくれて嬉しかったよ。


恋バナも出来たし。



「もー、優等生って言わないで。じゃあまた来るね」



手を振る瑠璃に私も振り返す。


最後まで名残り惜しそうに病室から出て行った。




「莉乃ー、調子はどうだ?」



しばらくしてお父さんとお母さんが来た。



お父さんは見た目がワイルド系で、知らない人が見るとまずビビる。



土木関係の仕事をしてて真っ黒に日焼けもしてるし、その上ガタイもいいから恐く見えるんだって。



だけど本当は曲がったことが大嫌いで、情に熱くて涙もろい。


昔の日本男子の象徴みたいな人。



亭主関白ではないんだけどね。



お母さんは昔美人だったらしく、お父さんが一目惚れして猛アタックを仕掛けて射止めたらしい。



今でもお父さんは、酔っ払うと武勇伝のようにそれを語る。


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