また、キミに逢えたなら。
「そういう莉乃は彼氏いんの?」
「えっ!?」
かか、彼氏っ……!?
仕返しと言わんばかりに、お兄ちゃんはイタズラッ子のような笑みを浮かべて聞いて来た。
爽やかなのは見た目だけで、たまにこんなジャブを打って来る。
「いいい、いない、よっ!」
あたふたする私に、クスッと笑うお兄ちゃんが憎らしい。
もー!
「莉乃ちゃん、顔真っ赤だよ?本当はいるんじゃないの?」
美緒さんまでもがそんなことを言い出して、タジタジの私。
「そんな者の存在は断じて認めん!」
あたふたする私をよそに、お父さんの怒号がリビングに響き渡った。