足首の長い髪
友達と先生の声だ

目をゆっくりと開けてみる。

私は か細く息を繰り返しているようで、ホッとした。

ただ、 手先がシーツをしっかりと掴み、 全身が汗ばんでいた。

「私・・・どうしたの?」

「プールで 飛び込んだ後、すぐに意識を失っていたのよ」
「私が水着を脱がせて着せ替えてあげたわよ。」

保険室の先生が窓を指さした。

私の水着がハンガーにかけられ、干されていた。

「ちょっ・・・ 先生恥ずかしいよぉ ビニールに入れてもらえば
持って帰ってから洗うのに」

「何言ってるの! カビが生えるわよっ」

「それよりさっ!!」
皐月の友人が 会話に割り込んできた。

「先生アレ! なんだったんだろうね?」
「アレ? ・・・・ あぁ・・・ なんでしょうね・・ゴミかしら?」

「な・・・なんのこと?」

「あんな色の子、うちの生徒や先生にもいないものね」
「そうなんですよ~ やだ~」

「ちょっとぉーなんですか?気になるぅー」

「あのね・・・」
「皐月の左足首に・・・・ 長い髪の毛がぐるぐる巻きに絡まってたの」

「ヒッ うっ うそ!」
「嘘じゃないもの・・・ ホラ」
先生は そう言うと、 ゴミ箱を皐月の目の前まで持って来て
蓋を開けた。
そこには 長く、淡い黄色の髪の毛が捨ててあった。

皐月は慌てて水中であった事を二人に話した。
友達は「いやだぁ~」と言うと、 ゴミ箱を遠くへ押しのけ、
「あ、私、次の授業あるから!」と言って行ってしまった。

(恐らく 教室の皆に言いふらしに行ったな・・・・)
呆れた顔で、開けっ放しになったドアを見送っていると、
先生が深刻な顔でつぶやいた。
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