強引上司のターゲット


「瑞花ー?出たかー?サイズSで大丈夫だっただろー?」


「あっ、は、はいっ!大丈夫です、ありがとうございます!……」

って…コレ、お古かな?

聞きたくても聞けないことに洗面所で一人落ち込んでいると、あっ!と課長が気付いたように言った。


「それ、瑞花用に新しく買ったやつだから。」


……。


あたし用に?買ったやつ…!


「あ、ありがとうございます…!」


課長はあたしの返事を聞くなり、っくくく!と小さく笑いながらドアの向こうから気配を消した。


「あーーーっ……」


両手で顔を覆いながら独りごちたあたしは、お風呂上がりも手伝って今にも噴火しそうだ!
何喜んでんだ!
何喜んでんだ!
これじゃあ誰かのお古かなって気にしてたのバレバレじゃない!


今日は恥ずかしいことを勢いに任せて散々言ったけど、地味に見透かされるのも耐え難い。


でも、それでもやっぱり嬉しくて「どんなつもりで用意したのよ!」と一人で課長を責めてみたりする。
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