強引上司のターゲット
新庄さんはあたしを連れて第二会議室に入った。
ここはそれほど大きくないけど、壁の一面が曇りガラスになっていて圧迫感はないし、中の人影も見える。

きっと新庄さんなりの気遣いなんだ。


優柔不断のあたしがハッキリと断ることはすごく勇気が要るけど、でも新庄さんと食事をするなんて想像できないし…
…うん!

あたしは意を決して言葉にした。


「あの…、食事の件なんですけど…」

「いいんだそれは。」

はぇ?間髪入れずにどうでもいいという扱いを受けた!
え?あたし、考えたんですけど?
もう、いいですか?
あ、そうですか!
あたし!なんて自意識過剰!
でも…そういう意味じゃなかったのがすぐに分かった。


「それより寺谷さん、課長と付き合ってるの?」


あぁ。そっちか。
今はそっちが気になるのか。
確かに「もらって行くよ」なんて言ってあたしを連れて行ったら、残された新庄さんはそう思うよね。
でも、あれは強引なだけ…。


「違います。ただの上司です。」
ちょっと強引な。


「じゃあ、一方的にってことかな…。」


独り言に変わった新庄さんの顔が、力強くなったように感じた。
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