【短】真夏のmystery kiss*+.
そろそろかな。
机にうつぶせながら、
その人を待つ。
はからずしもあの時と同じ場面だ。
少し遠くから、
セミの鳴き声にまぎれて
足音が聞こえる。
きっとこれだ。
私は真実を知って、
その後ちゃんと、
みんなのことを考えて答えを出したい。
正体不明のドキドキも
漠然ともっていた好きの気持ちも
相手と、自分と向き合って、
それではっきりさせたい。
教室のドアがガラッと開く。
私の想像通り、びっくりしてる。
そんな様子にふふっと笑ってしまう。
そして、
「……あのさ――」
やっと見つけた、
真夏に起きた
ちょっと不思議な事件の犯人。
あのキスの正体は
あなただったんだね。――――
fin.