【短】真夏のmystery kiss*+.



そろそろかな。


机にうつぶせながら、

その人を待つ。


はからずしもあの時と同じ場面だ。


少し遠くから、

セミの鳴き声にまぎれて

足音が聞こえる。


きっとこれだ。


私は真実を知って、

その後ちゃんと、

みんなのことを考えて答えを出したい。


正体不明のドキドキも

漠然ともっていた好きの気持ちも


相手と、自分と向き合って、


それではっきりさせたい。



教室のドアがガラッと開く。


私の想像通り、びっくりしてる。


そんな様子にふふっと笑ってしまう。



そして、



「……あのさ――」




やっと見つけた、


真夏に起きた


ちょっと不思議な事件の犯人。



あのキスの正体は


あなただったんだね。――――





fin.






< 64 / 65 >

この作品をシェア

pagetop