確信犯
戸籍には載らない事実。
手続きには関係のない愛情。
存在の詳細は。
あやふやで憶測を呼び、疑わしい。
ドコか胸を張れない世間体。
匠は。
私生児というコトを。
いつ知ったんだろう。
取り戻せない記憶と。
空欄の父親。
養父母の欄に、白澤有雅。
「パスポートや免許の時に戸籍は見てたけどさ。さっきオマエの話を聞いて、無戸籍もありえたんだなって気付いた」
記録に残せば、明るみに出る。
推測の余地があるほど、想像が働くハズなのに。
匠のカオは清々しい。
「兄妹は3親等内だし、直系血族の結婚は禁じられてるけど――オマエとこの子の、傍にいさせて欲しい」