確信犯
2DKの家で本当に夕食を作る匠。
ベビーベッドは洋室に移した。
匠と私は。
食後の片付けをしてから和室で。
スクエアのテーブルを挟んでいた。
スッ、と手が伸びてきて。
私の手首が、匠の長い指に捕まる。
「ひとりにして……ごめんな」
震えるような吐息で。
匠が、そう言った。
それは。
匠が、2歳下の妹に。
時を超えて伝えた想いに聞こえた。
カオが、上げられない。
掴まれた手首が熱くて。
やっぱり、脈打っていた。
嘘をつき続けていれば、逢える。
打ち消しながら、そう考えてた。
もう全部、メッキは剥がれたのに。
伝わる熱が確かで、狼狽える。