確信犯



今まで、私だと思ってたモノが。


木っ端微塵に砕かれて。


何も失くなる感覚。






――怖い


でも、失いたくない






「――オヤジが溺れたの、ちょっと、分かる気がする」



私の中で膨れ上がる匠が。


私の髪を、繊細な指でホドく。






「それだけ…柿原の女が、イイ女だってコトだな」



そんな、笑えない冗談。


愛おしそうに、言わないで。






「俺たちの想いはまだ、極みに達してない。奈落に突き落とされてもいない。これからだ――美森」



私の目元を親指でなぞって。


匠が動き始める。






痺れと痙攣を。


カラダと心が起こす。






ホドけ切ってない私の目的よりも。


それらは正直だった。


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