確信犯
相手のマンション。
それなりに酔ったのか。
自分の空間は寛げるのか。
匠はネクタイを外し、袖を折り曲げて家飲みに興じる。
「――たまに思う。抜けた記憶を抱えるってことは、生きてるフリをしてるんじゃないかって」
そんな言葉を溢すのは。
きっと、酔った勢いまかせ。
「いつも通り、バカにしてみろよ」
『バカに』…って。
してないし。
でも、匠の瞳は。
何かを切り刻みそうだ。
あー。
誰、だっけ。
こんな感じ、覚えがある。