確信犯



かなり細身のペーパーナイフは。


照りもしない。






反射的にカオを背けた一瞬。


右耳の奥に強い衝撃が走った。


ズキン――、と耳奥が鈍く痛む。






――……刺さ、れた…?






私の上に乗る白澤有雅を見て。






やっと……殺してもらえる


あなたもそう、思ったの…?


お母さん…






途端、カラダが飛ばされる。






「…『幸せになれ』なんて…これでもかというほど、残酷な言葉…」






奥平チーフが。


私のカラダの上から、白澤有雅を突き飛ばしていて。






「これ以上…一ノ瀬さんにばかり痕は残させない…この傷は私の物…」






白澤有雅のペーパーナイフは。


奥平チーフの脇腹に刺さっていた。


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