確信犯
兄の渉さんは。
適度に固執しないし。
地位や名誉なんて興味もないハズ。
政宗なら。
あの清涼感溢れる東洋美で。
会社に貢献できそう。
匠は。
表に出るのを好まないようだし。
人選は、それが最良だと思えた。
後日。
政宗が、病床にきてくれた時。
ナニを話せばイイのか、
わからなくて困っていると。
「ずっと、ずっと…ありがとう」
涼しげな目元を潤ませた政宗が。
とても――優しい声音で。
そんな風に囁くから。
政宗の、“声”を。
直接、近くで、聴けるコトに。
感動さえ覚えて。
生きててくれて良かった、と。
匠のようなコトを思った。