私と上司の秘密
「凛、凛、大丈夫か!?」


課長の呼ぶ声がして、今、課長の運転する車に
乗っていることに気付く。


「えっ、はい?」


ちょっと、マヌケな返事をしてしまった。


「今から、海、見に行こっか?」

突然、課長が、私の方を見て、呟く。


私は、何も言わず、うなずく。


二人共、無言のままだった。


車内には、ラジオがかかっていて、今流行りの『何とか』って、グループの特集で、その歌が
流れていた。


30分程車を走らせると、海岸線が見えて
きた。


私は、何となく、大袈裟に、

「うわ~っ、海だ!
久しぶりに来たよ!」

と、喜んでみた。


無理にでも、はしゃいでみたかった。


「そっか…。」

と、一言、課長は、私に微笑みかけるように言った。


その笑顔が、妙に色気を感じ、心臓が激しく
鼓動する。


私は、そのまま課長の顔を見ていると、
吸い込まれそうな気がして、思わず、
目を反らした。
< 134 / 299 >

この作品をシェア

pagetop