私と上司の秘密
会社の入口すぐの場所で、社員証のIDカードを
機械に通した直後に、

「宮下先輩!」

私の背中の方から、普段聞き慣れた声で呼ばれた。


振り返ると、想像どうり清水君だった。


私の沈んだ気持ちとは対照的に、清水君は、
終始、屈託のない笑顔でわたしに話しかけて
きた。


「先輩、朝から元気ないみたいですね。
お疲れですか?
それとも、何かあったんですか?」

『ゲッ、バレている…。』

「べ、別に、気のせいだよ。」

無理に作り笑顔をして、軽く否定して誤魔化した。


「そっ、そうですか…。」

何か、疑いの目を向けて納得していない様子に見える。


そんな会話をしていると、エレベーターが
到着し、二人して乗り込んだ。


エレベーターの中は、後から乗り込んできた
人達ですし詰め状態になった。


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